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借りぐらしのアリエッティ [映画]


借りぐらしのアリエッティ サウンドトラック

借りぐらしのアリエッティ サウンドトラック

  • アーティスト: セシル・コルベル
  • 出版社/メーカー: 徳間ジャパンコミュニケーションズ
  • 発売日: 2010/07/14
  • メディア: CD



初日にレイトショウで観ました。

結論から言うと、「TVシリーズの第一話みたい」 という感想。
設定説明に終始して何も始まらないで終わる。
話が大きく膨らみそうな感じなのに、まったくそれが活かすことなく
また観客に提示した伏線も消化することなく終幕。

読者の創造力に解釈を委ねる絵本、のような作品といういう感じ?

あるいは

若き米林宏昌監督が、宮崎駿監督に託された<結末が白紙の脚本>に対して、
自分の考えを書き込めぬまま白紙でフィルムにしてしまった感じ?
といえばいいのだろうか。


× × × × ×


一連の宮崎作品の魅力は(私見だけれども)

1.畳みかける様に「これでもか!」「まだまだ!」と展開する粘着質なシナリオ
2.どんな困難もハッピーエンドという風呂敷で畳む

の2点だと思う。

が、

宮崎監督がお歳をとられたせいか、千尋、ハウル、ポニョあたりから、
粘着なシナリオは書けていない。この程度でイイかな? って感じだ。
必然、風呂敷の畳みかたも雑で、ある作品ではまるで畳めていない。

また監督のご自身がお歳を召したということもあり、厭世観が非常に濃く漂っている。

この感じは、手塚治虫先生の晩年のフィルムや漫画に漂うそれと一緒。
また一昔前のディズニーの作品もそう。

だがそれは、<未来が明るいものである>と信じたい若者にとって、非常に面白くない。
はっきりいえば不愉快な感じ。

みんな嘘をつかれたい。
優しい嘘、巧妙な嘘、未来を信じることができる嘘をつかれるために、劇場に足を運ぶ。
エンタティメントっていうのはそういうものじゃないだろうか?

人生とは儚く、残酷で、無情なものである――。
そんなことを何も休日、1800円のお金を払って説教されたくないのだ。

× × × × ×

アニメ映画の主たる視聴者は子供である。
特にジブリ映画はそうだ。

だが本作、男の子がアリエッティに呟く「どうせお前等は滅びてしまう種族」 という台詞は
宮崎監督が今の子供達に浴びせた強烈な毒のような気がした。

子供達の未来に、老い先短い老人が皮肉と嫉妬まじりに唾を吐きかけた・・・
そんな嫌悪感を私は抱いた。

ああ、なんて残念なことだろうと私は思う。

昔の宮崎作品は、欺瞞に満ちた明るい未来を提示することが出来ていた。
私も子供時代に宮崎作品を観て、未来は明るいという嘘にマンマと騙されたクチだ。
宮崎監督は是非昔に立ち返って、優しい嘘をつき続けて欲しい。

ピクサー、あるいは、ラスター監督が関わるようになってから、
ディズニー作品には、そういう厭世観は払拭された。未来は明るいと提示し復活した。
ジブリの復活を切に臨む。次回作に期待したい。

「未来は明るい」――。
そういう視点が今のジブリには決定的に欠落している。
その原因は、宮崎監督が原因であることも間違いない。

若き才能・米林宏昌監督。
次回は是非リベンジして欲しい。



借りぐらしのアリエッティ [DVD]

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